2019年6月26日水曜日

神殿更新説を知る

1 神殿更新説
図書「アンデス古代の探求」に神殿更新説が述べられています。
「新しい神殿を造るために、わざわざ埋めているのではないかと気づいたのです。それまで「神殿埋葬」と呼ばれることはありましたが、むしろ「神殿更新」という言葉でこの現象を理解すべきではないかと考えました。
初めは小さくても、更新するたびにだんだん大きくなり、それに応じて建て替えに必要な労働量も大きくなる。そうすると人々を組織しなくてはならないし、彼らの食料を確保する必要もあります。食料生産を増やすために品種改良とか、小規模にしても灌概だとか、いろいろなことを考えるでしょう。大勢の人を呼んで何か月か働いてもらうには、食料管理も必要になります。こうして人間の社会的な組織化が進み、人を動かす知恵も発達するでしょう。それが結局は社会を複雑化していったのではないか。
神殿を建て替えるための労働を、「なんでやらなくてはいけないんだ」と疑問を持つ人もいたでしょう。そういう人を取り込むために複雑な理屈を考えようということで、宗教思想家が出る。
宗教を重みのあるものにするために、儀礼を荘重で複雑なものにする。儀礼を飾る道具、衣装、仮面、冠などを製作するために、特殊な工芸技術が発達する。やがて金製品が作られる。神殿を造り替えるたびに、「今度はもっと大きなものを造るぞ」という流れが、技術、経済、社会組織、宗教など、社会と文化のあらゆる面での変化を引き起こす。それが神殿更新説です。もっともこれは大雑把な発展史観で、細かい実証が必要でしょうし、あるいは発展史観そのものの転換すら必要かも知れません。」
アンデス古代の探求から引用

・メキシコの神殿(ピラミッド)もほとんどが内部に古いピラミッドが隠されていますから、神殿の更新は同じであるように感じますので神殿更新説に興味が深まります。
・イギリスのストーンヘンジ、エジプトのピラミッドなども同じ神殿更新説で把握できるような気もします。
・神殿更新説が発想される社会は多大な余剰生産物、それに依拠した王族・神官・軍隊・各分野専門家集団が存在している体制が既にあります。
・生産力増強や技術発展が神殿更新をテコに行われたと捉えることは「社会のやる気」を明らかにするという意味で画期的だと思います。神殿更新という「社会のやる気」があったればこそ生産力や技術発展が存在したという捉え方はアンデスのみならず他の古代社会の理解にも有効にちがいないと考えます。
・余剰生産物がない狩猟採集社会でも「社会のやる気」が食料増収や技術発展に寄与しているに違いないと類推します。
・縄文社会でも「成長期」「発展期」には「○○という社会のやる気」があったのではないかと想像します。○○の中には構造物としての貝塚造成とか土塁造成とか巨大木造望楼建設とかストーンサークル造成とかが入るのかもしれません。

クントゥル・ワシの第1号石彫(蛇目・角目ジャガー石像)頂上基壇の入口に立つ
Wikipediaから引用

2 クントゥル・ワシ神殿付近の地形3Dビュー
神殿更新説の原点であるクントゥル・ワシ神殿付近の地形3Dモデルを作成しました。
データは日本のJAXAが地球全域をカバーして整備した30mメッシュ
3Dビュー機能はQGIS
いとも簡単に地形3Dモデルが作成できてうれしいというよりも拍子抜けです。

地形3Dモデル
赤丸がクントゥル・ワシ神殿位置 南南西方向を臨む

クントゥル・ワシ神殿遠景 図書「アンデス古代の探求」掲載写真

QGIS画面 傾斜方位図

2019年6月24日月曜日

ナスカ地上絵に描かれた鳥

2019.06.20日経夕刊記事に「ナスカ地上絵 描かれた鳥特定」という記事がありました。日本人研究グループがナスカ地上絵に描かれた鳥の種類を特定する研究を行っているという興味深い記事です。

2019.06.20日経夕刊記事「ナスカ地上絵 描かれた鳥特定」
例として3つの絵の種類特定が出ています。

7年前にセスナ機からナスカ地上絵を撮影する機会がありましたので、その時の撮影写真を見返してみると、記事掲載3つの鳥の絵を見つけることができました。

キガハシハチドリ類

ペリカン類
ならんで2つのペリカン絵が描かれています。

ナスカ地上絵とその意義について興味が深まります。原著論文も入手したいと思います。

2019年6月19日水曜日

ペルー遺跡を空から楽しむための基礎ツール作成

2019.06.15記事「ペルー クントゥル・ワシ神殿」で気が付いた通り、日本人が調査したペルー遺跡を空から楽しむ趣味活動が「あり」であることが判明しました。折角ですから単純にGoogle earth proで眺めるだけでなく、もう少し凝った観察をしたいと思います。
そこで観察ツールとしてQGISをつかい、公開情報を利用して多少は分析的な情報をつくり、それを参考にしながら遺跡を空から見ることにします。
とりあえずとしてQGISに地形情報(30mメッシュ)、Google Map Satelliteや行政区画等の情報を入れました。

QGIS 地形情報(30mメッシュを見やすく処理)
次のJAXA提供ALOS DSM情報をダウンロードし、QGISの機能を利用して地形を見やすくしたものです。

JAXA提供ALOS DSM情報 ダウンロード画面
このデータをさらに分析的に処理すれば遺跡の地形の様子がさらに詳しく判ると思います。またこれ以上精細な地形データがペルーやアメリカにあれば利用したいと思います。

遺跡と地形との関係は遺跡を空から見る際の興味の焦点です。

QGIS 行政区画
次のGADMサイトからペルー行政区画データをダウンロードしました。地名の把握や統計情報を扱う場合に便利です。

GADMサイト ペルーダウンロード画面

QGIS Google Map Satellite画面

QGIS Open Street Map

2019年6月15日土曜日

ペルー クントゥル・ワシ神殿

2019.06.08記事「世界の遺跡を空から見る」で引用した日経2019.06.08記事「アンデス文明探り続け60年」で紹介されている図書「アンデス古代の探求」を入手しました。

大貫良夫・稀有の会編「アンデス古代の探求」中央公論社

この図書を材料にして遺跡を空から観察できるかどうか試してみました。
図書最初のカラー口絵写真は次のクントゥル・ワシ遺跡遠景です。

クントゥル・ワシ遺跡遠景
大貫良夫・稀有の会編「アンデス古代の探求」中央公論社から引用

これと同じ風景がGoogle earth proで見ることができるか試してみました。
直ぐに次の近似風景を得ることができました。

クントゥル・ワシ遺跡遠景
Google earth proから引用

クントゥル・ワシ遺跡には次の神殿が存在します。

クントゥル・ワシ神殿
大貫良夫・稀有の会編「アンデス古代の探求」中央公論社から引用

この神殿の様子も3Dは無理ですが、Google earth proでそれなりに観察することができます。

クントゥル・ワシ遺跡
Google earth proから引用

クントゥル・ワシ遺跡
Google earth proから引用
クントゥル・ワシ神殿の階段を上ると広大な谷空間とその背後のタンタリカの山が正面に位置していることが確認できます。

以上の初歩的作業から図書「アンデス古代の探求」とGoogle earth proを使ってペルーの遺跡を空から見て楽しみ、学習を深める趣味活動が成立することを確かめることができました。

今後趣味活動の一環として、ペルー遺跡を空から見て楽しみたいと思います。また図書等から知識を得て、縄文遺跡等との対比に興味を馳せる活動を始めたいと思います。

クントゥル・ワシ遺跡の位置
Google earth proから引用



2019年6月8日土曜日

世界の遺跡を空から見る

このブログでGeomorphology from spaceの学習に加え、世界の遺跡を空から見ていきたいと思います。
例えば次のような遺跡は空から見えて、見応えがあると思います。また日本語による資料も見つかる遺跡です。さらに現場を見学した体験もあります。趣味活動の現時点における本丸である縄文時代学習と年代を対応させてみるのも、学習視野の時空間拡大が必然となり、楽しいことです。気軽な雰囲気で世界の遺跡を空から見てみて、興味が深まれば突っ込んだ検討を行うという活動を始めたいと思います。

イギリス ストーンヘンジ
Google earth proから引用

ペルー ナスカ地上絵
Google earth proから引用

今朝の朝刊記事
日経2019.06.08記事引用
世界各地をフィールドにして活躍する考古歴史家が増えているようですから、日本語による情報量も増えていて、趣味活動を深めることが出来そうです。